第三章 第二話 利き目が右目の幸運と不幸

良くも悪くも 私は「感覚」人間だ
頭で考えるより感覚で動くことがほとんど

元々視力も悪かったので
ものを見ているようで見ていないことも多い


人と話していてもその人を見ながら
その人の後ろのオーラで真意を見ていた

口で何かを言っていても
その人の気が見えるというか

本当は思っていないことを
見透かしながら話していたり

そんな感じで
「感覚」に任せて行動することが多い


だからと言って 
全てがアバウトなわけではない


大学の専攻は「建築」だったから
精密な部分を見ることはシビアだった

バランスだったり
色だったり 寸法だったり


いつもその二面性を気付かないうちに
うまく使い分けていたのだと思う



片目がうまく見えなくなって
改めて「視る」ことを意識させられた

そして

それまでほとんど気にならなかった
「視覚」という感覚を再認識した



まずは「利き目」という視覚


「利き目」というのを聞いたこともあるし
確かにカメラのレンズを覗く時とか

限定的に何かを「見る」ときに
何気なく「利き目」を使っていたような


といった程度で 
無意識に「利き目」を使っていたが

不自由になって初めて
「利き目」がどっちでどうかを意識した



左目がうまく見えなくなって
唯一「良かった」と思ったことが

利き目が右目だったことだ


細かいことを見慣れた私に
残された目が「利き目」の右目だという幸せ

そしてその反面 不幸だったことも
残された目が「利き目」の右目だということ



そして「視界」という視覚


右目だけ開けて正面を見ると
正面を超えて左側も含めて150度位が見える

だから 左目が見えていなくても
右目だけで大体が見える

だから 左目の内側が見えないことに
全く気が付かなかった

有能すぎた右目のせいで
不幸にも左目をほぼ失明状態にしてしまった



「視覚」自体 実は曖昧だ


いつも当たり前に見ているものが
意外と見える範囲は実際と違っている

見えていなくても
実は脳が勝手に見せていたものだったりとか


そんな操作をさせられているなんて
思いもよらなかった


最近年をとって気づくこと

鏡でみた自分の顔と
写真に映る自分との格差は確かにある

都合がいいように脳が見せている
なんて聞いたことがあった


だから 見えていることが
真実とは限らないことが厄介だ



「視力」は見えなくなったらおしまいだ

多少の視力の改善は可能だとしても
もとには決して戻らない


視界が欠けて 見えなくなったら
そこが見えるようにはならないようだ

研究は進んでいるようだが
まだまだ改善するようにはならない


私の場合 左目の視界欠損が起きて
両目とも緑内障が併発している

「正常眼圧緑内障」の治療中だが
徐々に両目の視界が狭くなっている


緑内障の薬は 点眼で目薬だが
視界欠損の範囲を治療するわけでもなく

視界欠損の進行を遅くすることが目的で
止めることさえできない

眼圧の数値を低く保つことで
進行を遅くする ただそれだけだ


改善されることは何もない

ガンも治るとか なんでもできる
そんな世の中なのに目はまだまだだ



何の前触れもなく いつの間にか
大きく視界欠損ができて不自由になり

そこから緑内障が進行しているから
尚更厄介だ


「目がどんどん見えなくなっている」
ということを嫌でも納得し

「その生活に慣れること」
そこから始めないといけない


まだ全く見えないわけではない
生活に少し制限ができただけだ

と 自分に言い聞かせて



けれど

胸元にものをこぼしても
全然気づかずにいたりして

「あ、ここ見えないのか」
と自分の死角を見つけて萎える


まだ出来ることに目を向けて
まだ見えているから大丈夫

「だから良かったなと」と思って
しっかり生きていかないと


なんて思いながらも 
いつになっても気持ちは上下する



「一日一歩 三日で三歩
三歩進んで 二歩下がる」

なんて歌があった
まさにそんな感じだ


納得できない日々だが
必ず一歩は進んでいる

そこからしか始まらない



なんでも「見えていることが全て」ではない
本当は視界が欠けているかもしれない

見えていることだけを信じないで
いくつになっても周りに耳を傾けて


ちゃんと今いるところを
ちゃんと確認しないといけない

ちゃんとそれが正しいのか
ちゃんと病気じゃないのか



意外と目と歯は体調に直結する
見えにくかったり 歯も痛くなったり

どこかが弱くなったら
どこかが強くなってくれるみたいだが

そうそう柔軟に体が
対応してくれる年齢は過ぎた気もする


「利き目」の右目も 
まだほんの少し見える左目も

見え方には注意しながら
目の進行具合は要注意事項だ


少しでも長く
今見えていることを維持するために

ストレスも悪さをするから
自分を大事にしないといけない


もう少し
自分を甘やかしてもいいかも

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