第一章 第一話 目が見えない ~絶望のはじまり~

ある夜のことです

ベッドに横になって
いつものように本を読んでいました

左向きから ふと右向きに
寝返りを打った その時のことです

「……ん? 何か見え方がおかしい」

もう一度
左を向いて また右を向く

「……えっ? やっぱり何かがおかしい」

なぜか 右を向いた時だけ
紙面がすうっと暗く沈むのです

右目を隠して
左目だけで見てみると

やはり
視界に薄い靄(もや)がかかっているような違和感

初めての感覚に 心臓が激しく波打ちます

何が起きているのか分からない

けれど
確実に取り返しのつかない何かが起きている

一刻も早く原因を知りたくても

夜明けを待つしかありません

となりで眠る小さな息子を抱きしめ
不安を紛らわせようとしましたが

結局ほとんど眠れないまま朝を迎えました

翌日 駆け込んだ近くの眼科で告げられたのは
「正常眼圧緑内障」という診断名でした

眼圧は正常値(10〜21mmHg)の範囲内
それなのに 進行すれば失明のリスクがある

けれど 
一般的には「視界の端から欠けていく」
という症状とは違う自分の違和感に
ただただ不安が募ります

そして数日後
紹介状を手に当時大学病院にいた知人の紹介で
私は精密検査に向かうことになったのでした

これから綴っていくのは、光を失ったあの日からの物語です
もし、今の私がどうしているか
その『先の光』を先に見たい方は、こちらを覗いてみてください

第五章 第一話 ひだまりの破片(かけら)

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