
自分の目の実体が分かってから
すっかり自分のために出かけることが無くなった
何かを「したい」
という気持ちがすっかり失せていた
出かけるのは ほとんど買い物と子供の用事
送り迎え 学校行事 検診 予防注射
それと 子供達とのお楽しみだけだった
そんなある日
自分の体調が明らかにおかしいことに気づいた
まずは太陽だった
数年前から 太陽に当たると
時々かゆみが出るようにはなっていた
人より皮膚が弱かったので
山の上だから とか 海だから
とあまり気にしていなかった
外出の時は日焼け止めを必ず塗ったし
帽子もかぶって出かけていた
何より 「緑内障に良くないから」
と 目の主治医に言われてからは
高地と海、雪山は避けていた
なのに 太陽に当たるだけで
以前と明らかに様子が変わっていた
まず 太陽に当たると
目の上がみるみる膨れていくのだ
そして 露出しているところの皮膚が
モゾモゾしたとたん膨れ上がっていく感覚がある
外に出て 家に帰って 鏡を見る
元々 目が二重の私は
皮膚が膨れたせいで
シワがよって四重になっている
そして 猛烈に痒い
皮膚は白い方ではなく
いわゆる「地黒」と言われる部類なので
日に当たっても 赤くなる前に黒くなる
さほど強い炎症が見えるわけではないが
手の甲や足は膨れている感覚
ムニョムニョとした不快な感覚で熱を持っていた
それから ずっと起きていられない
とにかく 起きていられないのだ
朝起きて 子供達を送り出す
異常な疲れが襲ってきて横になる
少し経って 起きて洗濯をする
また辛くなって横になる
しばらくすると子供達が学校から帰ってくる
だるい体を無理やり起こして夕食を出す
そしてまた横になる
何かをするたびに横になる
子供達は「ママはいつも寝ている」
とよく愚痴っていた
しばらくそんな日々が続いたある日
気力が足りないせいかもしれない
と思って様子を見ていたものの
いよいよ自分の体調に嫌気がさして
近くの病院に相談に行った
まず 皮膚科に行ってみたが
「日焼け止めを塗って外に出てください」
と言われただけだった
そして 内科に行っても
「早い更年期でしょう」と言われて
更年期用の漢方を出されて終わった
一旦出された薬を飲んでは見たものの
だるさも気力も一向に戻らない
そこで 処方された薬が無くなる頃に
とある診療所に行った
そこの先生は
「血液検査」を重視する先生だった
データで診断するなんて…と
初めは少し信用できなかったが
出てきた結果に言葉を失った
まずは 極度の鉄分の欠落だった
「これでよく普通に生活していられたね」
と先生が驚きを隠せず真顔で聞いてきた
それほどまでにひどい貧血状態だったようだ
それから
アレルギー抗体の数値が異常だった
成人した頃 アレルギー性の喘息があった
精神的なストレスが募ったものだ
その時にハウスダストのアレルギーがある
とは聞いていた
しかし 今回は比較にならないほど酷かった
正常な人の10倍くらいという高い数値で
前代未聞だとこれまた先生が驚いていた
そのため 当然のように
ほとんどのアレルギー項目に反応していた
例えば 花粉は全てに反応していた
スギ ヒノキ イネ
ブタクサ ヨモギなどなど
一年を通して かろうじて11月から12月
冬の2ヶ月以外は万年花粉症だった
かろうじて
食べ物のアレルゲンがなかったことが救いだった
皮膚に関しては
「光線過敏」だけではなさそうだと言う診断だった
いずれの数値の結果も尋常ではなかったので
ひどく心配されたのは覚えている
とにかく
いろんな要因が複雑に絡み合って
いろんな症状として噴き出していた
とりあえず まずは「体調を整える」
ということを目標に漢方などが処方された
私の目のこと
そして
上の子たちが生まれた頃に重なった
5年間にわたる 末期癌の母の看病
母が亡くなったあとに押し寄せた 様々なこと
いくつもの重荷を すべて心の中に抱え込んで
誰にも どこにも吐き出すことができなかった
すべてを自分の中に抱え込んで
心を閉ざしていた結果だ
いよいよ体が悲鳴を上げて
全力で私を立ち止まらせたのだと思う

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